8月5日、Amazonは「ルンバ」などのロボット掃除機で有名なiRobotを買収すると発表しました。その買収額は、負債を含めて約17億ドル、日本円で約2,300億円となっています。しかし、直近のMGMとone medicalの買収額と比較すると落ち着いた額のように思えます。
1年間でジャンルの異なる3社の買収に着手したAmazonですが、その意図とは一体なんなのでしょうか?
今回は、AmazonがiRobotの買収に至った理由と今後の動向について一緒に考えていきましょう!
iRobot買収の意図とは
iRobot買収の意図について、Amazon側からの明確な発表はありません。
ただ、「iRobotとともに顧客の生活をより快適かつ楽しくする方向性で研究・開発していくことにとても興奮している」といった内容の声明を発表しています。
この内容からも読み取れるように、iRobotを買収した主な目的は家電(特にスマート家電)事業の強化だと言えるのではないでしょうか。
悔しくも失敗に終わった前事業を糧に!?
みなさんは、「Amazon Dash Button」というサービスを覚えていますか?2015年よりスタートし、2019年にサービスを終了した日用品をボタン1つで注文できるAmazon独自のサービスでした。
当初は画期的だと言われたAmazon独自のシステムやサービスが、その後ことごとく打ち砕かれていった過去を考慮すると、M&Aによって他企業の技術や情報を取り入れるという選択肢こそ、現状のAmazonにとって最善の選択であったように思えます。
世界的なインフレとAmazonの動向
ここで、Amazonのこれまでの動向や現状を確認していきましょう。
2022年第2四半期は大幅赤字
コロナウイルスのパンデミックが与えた影響で、オンラインショッピングの利用頻度が増加したことに伴い、2020・21年と連続して大幅な黒字を記録していたAmazon。しかし、直近のインフレによる買い控えの波に完全に飲み込まれてしまった結果、今年の第2四半期の決算では39億ドルの赤字となってしまいました。
前年の第1四半期では81億ドルの黒字を記録していることから、尋常ではない減少率であることが伺えるかと思います。
実店舗展開事業から完全に撤退
近年のAmazonは、ブックストアやポップアップストアなどの実店舗の展開事業にも積極的な姿勢を見せていましたが、これらの店舗を完全に閉鎖することを発表しています。度重なる不況の波にこれ以上足を取られないためにも大幅なコストの見直しが入ることへの予兆なのでしょう。
Amazonヘビーユーザーの多い日本人にとって、この改革は無視できないものとなりそうです。
買収による巨額な赤字
Amazonによる、MGMとone medical、iRobotの買収。この3社の買収額の総計は、日本円で1兆5千億円以上という、とんでもない金額となっています。
特筆すべきなのは、この巨額の買収が、インフレとサプライチェーン問題を抱えた中で行われたことでしょう。世界を代表する大企業・Amazonとはいえ、額が額なだけに涼しい顔はしていられません。
一方で、経済的問題を抱えた上で巨額のM&Aに着手したということは、それを挽回するだけの新事業の展開を目論んでいるということの裏付けであるとも捉えることができそうです。
iRobot買収後のAmazonの動向は?
iRobotとのM&Aで、Amazonが最も欲しかったものは「技術力」で間違いないでしょう。
AmazonとiRobotが協力することで、今後どのような製品が開発されていくのか、家電系インフルエンサーの方々の意見をもとにまとめましたのでご紹介します。
次世代のスマート家電開発に向けて
巷ではAmazonのiRobot買収について、「ルンバ」の最新機種には高性能カメラが搭載されていることや、iRobotが軍用ロボットの開発に携わっていたことなどから、私たちの個人情報をカメラやAlexaなどに搭載されているマイクから抜き取ることが真の目的なのではないかと囁かれているようです。
かなりSFチックすぎる噂な気もしますが、現実的なところでは、Alexaのようなスマートスピーカーで培われたAmazonのAI技術と、iRobotの「ルンバ」に始まる小型家電の技術をかけ合わせることで、AIを搭載した次世代の家電の開発に拍車がかかるのではないかと言われています。
人型ロボット開発の本格化
また、この2社が手を組んだということは、人型AIロボットの開発事業を本格化するという合図であるといった見方もあるようです。もしかしたら、「ドラえもん」のような夢のAIロボットが完成する日もそう遠くないのかもしれません。
最後に
終わりの見えないインフレの海に投げ出されてしまった、私たち。パンデミックや戦争によって、世界市場は予想以上に深刻な状態なのかもしれませんね。
対応に動き出そうにも、状況を知らなければもがくことしかできません。適切で損のない行動を心がけるためにも、今後のAmazonの動向に注目です。