今年1月、三菱UFJ国際投信によって新規設定された新ファンド「eMAXIS S&P500 クオリティ高配当インデックス」が注目されています。新ファンドは「S&P500クオリティ高配当指数」と連動する値動きを目指しています。
「S&P500」といえば、米国のもっとも代表的な「株価指数」であり、安定したリターンで投資家に人気があります。2021年までの過去10年において年率約14.7%を記録しました。ところが昨年、米国の相次ぐ利上げにより指数は19.4%下落。
不安の中で発表された新ファンドとは、気になる内容をみていきましょう。
「S&P500」とは?
「S&P500」とは、Standard & Poo’s 500 Stock Index の略です。S&P500ダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表している株価指数のひとつになります。
指数のポイントは、次の3つです。
- 米国企業を幅広く代表する500の企業が採用されている。
- 米国株式市場の時価総額80%で構成されている。
- 米国の市場動向を把握する上で重要な指標。
「S&P500」の指標を日本で例えるなら、日経225(日経平均株価)やTOPIX(東証株価指数)にあたります。つまり米国の株価をみるときには、かならず確認すべき指標です。
500銘柄で構成されている業種・銘柄
500銘柄で構成されている業種、銘柄を確認してみましょう。
IT(情報技術)、ヘルスケア、一般消費財、金融、コミュニケーションサービス、資本財、生活必需品などから構成されています。時価総額(企業が発行するすべての株式の総額)で順位が決定されるので、勢いのあるIT企業が多く含まれます。
アップル、マイクロソフト、アマゾン、ドット・コム、フェイスブック、ジョンソン&ジョンソン等、知っている企業が多いのではないでしょうか。
「eMAXIS 」とは?
eMAXISシリーズは、三菱UFJ国際投信信託が設定・運用する投資信託のラインアップ。ひとことで説明すると、インターネット専用ファンドのことで、ノーロード(購入時手数料無料)のインデックスファンドになります。
証券会社の発表している売れ筋ランキングには、eMAXIS Slim シリーズの「全世界株式(オールカントリー)」、「米国株式(S&P500)」、「先進国株式インデックスファンド」が常にランクインするほど人気です。「米国株式(S&P500)」は、つみたてNISAで買える優良銘柄となっています。
注目の新ファンド
「S&P500クオリティ高配当」指数とは、業績、財務安定性および配当利回りをもとに抽出した株価指数です。「S&P500」の中でも、競争力があり事業基盤がしっかりしたより収益性のある安定企業が選ばれています。
人気のある「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」ですが、昨年の米国の利上げに伴いリターンがマイナスになり不安を感じさせました。
S&P500とS&P500クオリティ高配当の違い
今回、新規設定された「eMAXIS S&P500クオリティ高配当インデックス」と人気の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」にはどんな違いがあるのでしょうか。
おもな業種別比率
- S&P500 指標:IT・4%、ヘルスケア・15.2%、金融・11.6%
- S&P500クオリティ高配当 指標:金融・26%、資本財・3%、生活必需品・13%、IT・9.6%
おもな銘柄
- S&P500:アップル、マイクロソフト、アマゾンなどのIT大手企業
- S&P500クオリティ高配当:バイオ医薬品のギリアド・サイエンス、自動車用および工業用交換部品のサービス会社ジェニュイン・パーツ、金融サービスのプリンシパル・ファイナンシャル・グループなど
このような構成銘柄の違いから「S&P500」指数が金利が下がるときや低金利の時に良いパフォーマンスを見せ、金利が上昇するときは「S&P500クオリティ高配当」指数が「S&P500」を上回るパフォーマンスを見せています。
最後に
昨年、米国ではインフレを抑制するために相次ぐ利上げを実施。米国政策金利が上昇すると株式相場は下がる傾向にあるので株式市場は下落傾向です。中でも、IT(情報技術)の業績が思わしくなかった為、IT比率の高い「S&P500」が影響を受けたためと言われています。
新規設定された「eMAXIS S&P500クオリティ高配当インデックス」は構成銘柄の違いから「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を補うファンドとして成長が期待できます。しかし、金利の上昇や低下のときはかなりの差異があるようです。
それぞれの特徴を理解して、上手に運用をしていければ良いのではないでしょうか?