注目の話題のひとつに2024年から始まる新NISA制度があります。令和5年度税制改正大綱で政府は資産所得倍増プランとして「貯蓄から投資へ」を実現するために、NISAの抜本的な拡充と恒久化をすることになりました。
神改正とも言われている今回の税制改正、今までのNISAと新NISAの違いについて、違いをみていこうと思います。
NISAとは?
NISAとは少額投資非課税制度のこと。通常、株や投資信託などの金融商品を売買した場合、売却益や配当金に対して約20%の税金がかかります。NISA口座内では、毎年決められた金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益に対して、税金がかからなくなる制度です。現行のNISAと新NISA、何が違うのか確認してみましょう。
現行のNISAについて
- つみたてNISA・年間上限金額40万円、20年最大で800万円
- 一般NISA・年間上限金額120万円、5年最大で600万円
- ジュニアNISA・年間上限金額80万円、2023年12月で廃止決定
- つみたてNISAと一般NISAはどちらか一つしか運用できない
- 非課税期間が決まっている、つみたてNISA20年、一般NISA5年
つみたてNISAか一般NISA、どちらかしか使えません。一年ごとに乗り換えることができますが手続きを考えると、目的にあわせて選択するしか方法がありませんでした。
また、年間上限金額をその年度に使い切らなかった場合、翌年への繰越はありません。
一般NISAも利益確定のため売却した場合、売却分の非課税枠が減少するだけでした。
新NISAのポイント
- つみたてNISAと一般NISAの併用が可能になった
- 年間上限金額が最大360万円に拡大された
- 生涯非課税限度額が最大1,800万円で新設に
- 非課税保有期間の無期限化
- 制度の恒久化
1番の使い勝手の良さは、つみたてNISAと一般NISAの併用ができるようになること。
年間上限金額がつみたてNISAは120万円、一般NISAは240万円。最短5年で1,800万円に到達できる計算になります。かなり余裕があればの話になりますが。
新NISAでは年間上限金額をつかいきらなくても翌年に繰り越されます。そして途中で株を売却した場合、翌年に非課税枠が復活します。生涯で非課税枠が1,800万円となり上限が拡大しました。
気になる新Nisa ロールオーバーについて
ロールオーバーとは、「NISA非課税期間終了後の移管」のことを言います。
要するに、翌年の非課税投資枠に移すことによりさらに5年の非課税期間を維持できるのです。
いままでのNISAを新NISAに移行できるのか、気になりますね。金融庁のHPによると
『2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISA制度において投資した商品は、新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用』
とあり、さらに注意書きで
『現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可』と記載。
つまり生涯非課税限度額、最大1,800万円にプラスして現在保有しているNISA口座の非課税枠が追加されるイメージではないでしょうか。
いまからできることは?
現行のNISAと比べて新NISAが使いやすくなっている事がわかりました。では、どのように行動していくのが良いのでしょうか。
すでにNISAを使っている人
いつも通り続ければ良いと思います。つみたてNISA、一般NISAともに今年の非課税限度額を使い切ることで、別枠の非課税枠が追加されたようなもの。
現在NISA口座で保有している金融資産を慌てて売却したり、課税口座に移したりしないように気をつけてほしいと思います。
まだNISAを始めてない人
今年から始めるメリットがあることを理解してNISAを始めてはみるのも良いのでないでしょうか。つみたてNISAであれば40万円、一般NISAであれば120万円の非課税枠が新NISAに追加されるイメージです。
配当や売却益のかかる約20%の税金、金額が大きくなるほど無視できない金額になります。
政府の思惑とは
金融庁の狙いは「貯蓄から投資へ」の流れを加速させたいのではないでしょうか。
狙いのひとつは投資で資産を増やして老後資金を計画的に準備して欲しいのだと思います。
少子高齢化が進み、現行の年金制度だけでは不安があるようですね。
まとめ
2024年から始まる新NISAは、かなり使い勝手が良くなります。
理由のひとつにつみたてNISAと一般NISAを併用して使えるようになったこと。
生涯非課税限度額が1,800万円と上限が拡大したこと。非課税期間が無期限化したことによって、配当金や売却益に税金がかからないのは、嬉しいことですね。
売却等によって減った非課税枠が翌年復活するという神改正、売却後の非課税枠の復活も使い勝手の良さを感じます。
今年のNISA枠から上手く活用して、1,800万円プラス別枠の40万円または120万円を確保する方法を考えるきっかけにしてはいかがでしょうか。