今や誰もが当たり前のように使っているYouTubeですが、「誰がどうやって作ったのか」「YouTubeの創設者たちは今どこで何をしていて、どのくらいの資産を持っているのか」まではあまり知られていません。実はYouTubeには3人の創設者がいて、それぞれ違う役割とキャリアを歩んできました。この記事では、チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジャウィード・カリムという3人のプロフィールと、YouTube誕生からGoogleによる巨額買収、そして現在の活動や推定資産までを、流れが分かるように整理して紹介します。
YouTubeの創設者は3人いる
YouTubeは2005年2月14日、チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジャウィード・カリムという3人の元PayPal社員によって立ち上げられました。ハーリーはデザインとユーザー体験、チェンとカリムはエンジニアとしてシステム開発を担当し、「誰でも簡単に動画をアップして共有できる場所」というコンセプトを形にしていきました。一般的にこの3人がYouTubeの創設者として広く知られています。
誕生の背景とサービス急成長の軌跡
YouTubeは、当初は「動画版出会い系」のようなアイデアとして構想されたと言われていますが、実際にユーザーが投稿し始めたのは日常のホームビデオやペット動画などでした。2005年4月にはジャウィード・カリムが動物園で撮影した「Me at the zoo」を投稿し、これがYouTube最初の動画として有名になっています。 その後、ブログやSNSを通じて口コミが広がり、ローンチから1年あまりで世界的な動画共有サイトへと急成長しました。2006年10月には、Googleが約16億5000万ドルの株式と引き換えにYouTubeを買収する大型ディールが実現しました。
チャド・ハーリーとはどんな人物か
チャド・ハーリーは1977年生まれのアメリカ人起業家で、YouTubeの初代CEOを務めた人物です。大学ではファインアートを学んだデザイナー出身で、PayPal時代にはロゴデザインも手掛けるなど、クリエイティブ寄りのバックグラウンドを持っています。 YouTubeでは、ロゴや画面レイアウトだけでなく、タグ付けや「埋め込みコードによる外部サイトでの再生」など、ユーザー体験の根幹となる部分を主導したとされています。 サービスのビジョンを描き、資金調達やメディア対応も担った「表の顔」がハーリーだとイメージすると分かりやすいでしょう。
チャド・ハーリーの現在と推定資産
2006年のGoogleへの売却時、ハーリーは約69万株以上のGoogle株を受け取り、その価値は当時約3億4560万ドルと報じられました。 その後も株価上昇や投資を通じて資産を増やし、近年の複数の推定では純資産はおよそ5億〜8億ドル(数百億円規模)とされています。 2010年にYouTubeのCEOを退任してからは、動画サービスMixBitやスポーツビジネス、テック系スタートアップへの投資などに関わり、現在は実業家・投資家として活動中です。
スティーブ・チェンとはどんな人物か
スティーブ・チェンは1978年生まれの台湾出身エンジニアで、子どもの頃にアメリカへ移住しました。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校でコンピュータサイエンスを学び、その後PayPalに入社してハーリーやカリムと出会います。 一時期はFacebookの初期メンバーとして働いていたこともありましたが、短期間で退職し、YouTubeの開発に専念する道を選びました。YouTubeではCTOとして動画配信のインフラやスケーラビリティ、サーバ設計など「技術面の心臓部」を担い、爆発的に増えるトラフィックに耐えるシステムを作り上げた人物です。
スティーブ・チェンの現在と推定資産
チェンはYouTube売却の対価として約62万株以上のGoogle株を受け取り、当時の評価額は約3億2620万ドルと報じられました。 その後、ハーリーと共にAVOS Systemsを設立し、ソーシャルブックマークサービスDeliciousの買収や動画アプリMixBitの開発などに取り組みました。 2014年にはGoogle Ventures(現GV)のパートナーに就任し、投資家としてスタートアップ支援に携わっています。
ジャウィード・カリムとはどんな人物か
ジャウィード・カリムは1979年生まれのドイツ系アメリカ人エンジニアで、YouTubeの「3人目の創設者」です。東ドイツのメルゼブルク生まれで、のちに家族と共にアメリカへ移住し、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校でコンピュータサイエンスを学びました。 大学時代のインターンではシリコングラフィックス社で大規模3Dデータ処理に関わり、その後PayPalで不正検知システムの開発を担当するなど、アルゴリズムに強いエンジニアとしてキャリアを積みます。 YouTubeでは初期のコンセプトづくりとプロトタイプ開発を担い、先述の「Me at the zoo」をアップした最初のユーザーとしても知られていますが、創業後まもなくスタンフォード大学大学院に進学したため、他の2人よりも表に出る機会は少ない存在でした。
ジャウィード・カリムの現在と推定資産
カリムはYouTube売却の際、約13万7443株のGoogle株を受け取り、その価値は約6460万ドルと報じられています。 その後は「Youniversity Ventures(現YVentures)」というベンチャーファンドを共同設立し、Airbnb、Palantir、Reddit、Eventbriteなど、後にユニコーンとなる企業に早期から投資したことで知られています。 最近の複数のメディアでは、カリムの純資産はおおよそ3億ドル前後、多いものでは3億〜5億ドルのレンジと推定されています。
創設者3人の年収の概算
YouTube創業者3人の純資産は、推定でハーリー約5〜8億ドル、チェン約5億ドル、カリム約3〜5億ドルとされています。これを創業からの約20年で割ると、資産の増加ペースは年あたりハーリー約40〜60億円、チェン約40億円、カリム約20〜40億円相当になります。ただしこれは「20年間で増えた資産を均して年収っぽく見た数字」で、実際の給料や毎年の収入ではなく、YouTube売却益やその後の投資リターンが一気に乗った結果だと考えるのが正確です。
まとめ
YouTubeの創設者3人は、同じプロダクトを立ち上げた仲間でありながら、現在はそれぞれ異なるスタイルでキャリアと資産形成を続けています。ハーリーはデザイナー出身のCEOから投資家へ、チェンはCTOからベンチャーキャピタリストへ、カリムはエンジニアから「静かなエンジェル投資家」へと進化しました。 3人に共通しているのは、「自分たちが欲しいサービスを素早く形にし、タイミングを見て大きな企業に売却し、その資本と経験を元に次の挑戦に投資している」という点です。
