2023年2月、G20財務大臣・中央銀行会議が行われました。議長国インドは仮想通貨の規制で国際協力の必要性を訴え、IMF(国際通貨基金)から支持を得たと話題になりました。
会合後の会見で米財務長官イエレン氏は「われわれは仮想通貨関連の活動の全面禁止は提案していないが、強力な規制の枠組みを設けることは重要」と、発表しました。
IMFは報告書において、国の経済活動に対する仮想通貨の影響は、銀行にも影響を及ぼすとしています。
世界の会合で議題になる仮想通貨の政策について気になるところです。IMFの役割を確かめて、投資だけではなく仮想通貨の技術について、私たちも理解する必要がありそうです。
IMFの役割とは
IMFとはInternational Monetary Fundの略称で、国際通貨基金のことです。
1944年に開催された連合国国際通貨金融会議で設立され、1947年より業務を開始した国際機関になります。
2022年現在の加盟国は190カ国です。
IMFの役割
IMFでは雇用創出、健全な経済に必要不可欠となる金融の安定と国際協力を促すことで、加盟国すべての継続的な成長と繁栄を実現するために取り組んでいます。
おもな会合は年1回開催される世界銀行との合同総務会、原則年2回開催される国際通貨金融委員会などがあります。
3つの義務「国際通貨協力の強化・貿易の拡大、成長の促進・繁栄を損なう政策の抑制」
のもと、任務を達成するために加盟国、他の国際機関と協力して働いています。
IMFの仕組み
国際金融システムの安定を図るために以下の3つがあります。
1.サーベイランス(政策監視)
経済と金融動向の監視、および政策の助言
2.金融支援
加盟国に対する融資やその他の金融支援
3.能力開発
各国政府が健全な経済政策を導入することを手掛かりとするための、技術支援と研修
IMFの決定事項が世界経済に与える影響力は、非常に大きいといえます。
G20とは
G20とは、Group of Twentyの略で、先進国に新興国が加わり、世界経済での強調した行動のために合意を形成しています。
毎年、G20の首脳が集まる国際会議「金融・世界経済に関する首脳会合」を開催しています。
今年の優先政策課題として「ひとつの地球・ひとつの家族・ひとつの未来」があげられました
- ひとつの家族
連帯、そして脆弱な人々を保護すること
- ひとつの家族
われわれの家である地球を保護すること
- ひとつの未来
全員が反映できるようにすること
今年のG20の会合では、仮想通貨の規制について取り上げられました。資産の規制は一国だけでは何も出来ないので、加盟国全体での規制の枠組みが必要であることを主張しています。
仮想通貨の政策
仮想通貨のマクロ金融への影響について、G20財務大臣、中央銀行総裁会議に合わせて報告書が作成されました。
仮想通貨の政策
⒈「仮想通貨は、通貨主義と安定性を守るため、公式通貨や法定通貨の地位を与えるべきではない」
最近の仮想通貨取引所の破綻や資産の崩壊などを考慮すると、仮想通貨への対応は最優先事項であり、何もしないことは不可能だといえます。
⒉「仮想通貨の全面禁止は、第一の選択肢ではない」
規制がビジネスの技術革新を阻害しないことが重要であること、枠組みの導入は各国の状況に合わせる必要があることを主張しました。
仮想通貨の普及がすすんだ場合、金融政策、為替相場管理、資本移動管理対策の持続可能性に対し、かなりリスクを伴う可能性について指摘しています。
指摘されたことは、金融が不安定になる可能性、銀行が預金を失う可能性、融資を抑制する必要があり、中央銀行の外貨準備高や金融セーフティネットの変更が重要であるということです。
金融安定のリスク
仮想通貨の価格変動が大きいため、金融不安定化のリスクを強調。さらに、ステーブルコイン(その価格が法定通貨、または市場で取引される金などと連動するように設計されている仮想通貨)は、銀行の仲介機能を排除する可能性があるとしています。
仮想通貨価格の急激な下落は、投資家は金融機関にとっても直接影響があり、避けられません。
また金融機関が、仮想通貨を融資の担保として受け入れる可能性を指摘。
規制が不十分な場合、仮想通貨の取り付け騒ぎが起これば、広範囲で資産価格への影響を避けられないと警告しています。
最後に
仮想通貨を全面的に禁止するわけではないが、法定通貨と同じ扱いにすべきではないこと。
仮想通貨の技術には、ある程度の理解を示しています。
つまり、仮想通貨の基盤となる技術は認めているということです。
仮想通貨といえば投資を思いうかべますが、ブロックチェーン技術(取引履歴をつなげ、正確な取引履歴を維持する技術)など、銀行業務、システムに大きな変革をもたらす可能性があるとIMFは言及しています。
仮想通貨について、世界が協力して健全で安全な金融システムを実現するための政策が必要であることがわかりました。私たちも仮想通貨のシステムや技術について、理解しておくことが必要になりそうですね。