米国株をはじめ株式市場は下落局面に入り不安を感じているのではないでしょうか。気になるのは、高い成長性のある新興国を投資対象にするべきかどうかですね。
新興国とはなにを基準に位置つけているのか、どの国が含まれているのか理解していないことが多いかも知れません。
ここでは「新興国株」の特徴、先進国株との違いを解説します。これからの投資対象になるかどうか確認していきましょう。
先進国と新興国の定義と含まれる国はどこ?
実は新興国と先進国を分ける明確な定義は無いといわれています。
1.先進国と新興国とは
新興国とは
経済水準は低いが経済成長が見込める国になります。
代表的な国として中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカなどが含まれ、生産年齢人口(15〜64歳)の増加に伴い経済規模が大きくなると注目されている国や地域です。
先進国とは
経済が大きく発展している国のことを指し、経済が発展していて生活水準が高い国々を先進国と呼んでいます。インフラが整備されており、人権保障、政治的に自由で安定している国のことです。
2. 先進国と新興国の分類
代表的な分類には以下の3つがあります。
①IMF(国際通過基金)による分類
世界の194の国と地域のうち、39の国や地域を先進国とし155の国や地域を新興国としています。
②OECD(経済協力開発機構)加盟国は先進国扱い(現在38カ国)
OECDでは1人あたりGDP(国内総生産)が1万ドル以上の国を先進国としています。
目安となるのは、「1人あたりGDP(GDPをその国の人口で割った数値)」です。
国別GDPでは、1位 アメリカ、2位 中国、3位 日本の順です。
1人あたりGDPでは、7位 アメリカ、27位 日本、80位 中国となります。
中国を例にとると、1人あたりのGDPは1万ドルを超えても、地域によって貧富の差があり先進国とは呼べない状況といえます。
③MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社の市場区分
MSCI社とは世界的な指数算出、金融リサーチの会社です。
MSCI社では新興国を24カ国で構成しています。
- 南北アメリカ:ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー
- 欧州、中東、アフリカ:チェコ共和国、エジプト、ギリシャ、ハンガリー、クウェート、 ポーランド、カタール、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、アラブ首長国連邦
- アジア:中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ
現在、ロシアはウクライナ情勢により除外。
新興国株の特徴
1.ハイリスク・ハイリターンの典型
- 資源国の割合が高いため、資源価格の影響を受けやすい。
- カントリーリスクが高い。
(カントリーリスクとはその国に投資した場合、国の政治・経済状態に強く影響を受けることをいう)
- 政治や経済の状況が不安定になれば、株価への影響が大きい。
- 株式市場が未成熟で株主は守られない傾向にある。
- 労働人口が多く、生産、消費が活発なので経済成長が期待できる。
2.個別株より投資信託やETF
個別株に投資するには、カントリーリスク、為替リスクがあります。個人で投資するにはハードルが高いといえるでしょう。
新興国株への投資をする場合は、指数に連動した投資信託やETFを理解してから、検討するといいのではないでしょうか。
MSCI新興国株指数に連動した投資信託
MSCI新興国株指数とは、MSCI社が算出する新興国株式を対象とする代表的な指数です。
(日経平均やダウ平均と同じ扱い)新興国株式市場の動向の確認に1番使われています。
新興国ETF(上場投資信託)
ETFは東京証券取引所に上場しているため、どの証券会社からも購入できます。株式指数に連動した金融商品が複数で構成されています。購入することで、すでに分散投資になっているのが特徴。
3.新興国株のメリット・デメリット
- 大きなリターン 先進国と比べると割安な水準。
- 人口が増える新興国は経済成長が期待できる。
- 今後、デジタル化やTI化が進むと、世界的な企業が誕生するかもしれない。
- 経済や株式市場が未成熟なので下落リスクも高い。
- 国の経済成長と株式市場が連動しない場合もある。
最後に
先進国と新興国の分類にははっきりとした定義は無いことがわかりました。
先進国株の特徴として経済が成熟している反面、高い経済成長は期待できないこと。つまり先進国株での運用は新興国と比べたときに、手堅いリターンを期待できます。
反対に新興国株は割安な水準にあり、人口増加による高い経済成長が期待できるので大きなリターンが得られる可能性があります。しかし、経済や政治、株式市場が未成熟な面があり下落のリスクも高いといえます。
投資対象に新興国株を検討しているのなら、指数に連動した投資信託やETFをおすすめします。手堅く先進国株で運用したうえで、分散投資の1部として少額で新興国株を試してみるのがいいのではないでしょうか。